【QooCam 3 レビュー】5.7K動画に明るいレンズと大型センサー!なのにお手頃な360度カメラ
一目見るだけで「おっ!」と言わせるような面白い撮影ができる360度カメラ。
前後上下左右の全方向を撮影できる360度カメラは、スマホや一眼カメラでは撮れない印象的な撮影ができることで、注目されています。
- 臨場感や非日常感のあるエモい写真や動画が撮れる
- 撮影の構図を気にせずに、後から好きな画角で切り出せる
- 自撮り棒を活用すると、ドローンのような第三者視点で撮影ができる
- 手振れの少ないアクション撮影に向いている
- 高所や狭いところなどの撮影や部屋の内覧会や下見に使える
以前に、「撮影に集中しないで、家族との時間を楽しめる」という理由で購入したInsta360 ONE XとONE X2で、360度カメラの楽しさは既に体験済み。
こんな360度カメラの体験をもっと手軽に味わうことができるのが、今回紹介する QooCam 3。
QooCam 3は、最大5.7K@30fpsの高精細かつ明るいレンズ+大型センサーによる美しい撮影、そして手ごろな価格というのが魅力的な360度カメラ。
使いもしないような複雑な機能はいらないけど、単純にきれいな360度撮影を楽しみたい。
そういう人に是非チェックして欲しい2023年9月に発表された360度カメラ QooCam 3をレビューします。
- 動画は最大5.7K@30fps/4K@60fps、静止画は62MPの高解像な撮影
- 360度カメラ最大級の明るいレンズとセンサーサイズ
- 操作性がシンプルで使いやすい
- IP68の防塵防滴対応
- スペックの割に手ごろな価格設定
- ボディの厚み、重量感
- 撮影モードや設定項目が少なめ
- ファームウェアやソフト面は今後のアップデートに期待
光学性能が高いパノラマアクションカメラ:QooCam 3
QooCam 3の特徴
主に360度カメラやVRカメラを開発しているKandao Technology(カンダオテクノロジー)は、国内ではあまり知名度が高くありませんが、プロ向けの機材を多く販売している非常に技術力の高いメーカー。
そんなメーカーのコンシューマー向けラインナップの中で、今回紹介するのが2023年9月発売の新しい360度カメラ QooCam 3です。
QooCam 3は、カメラレンズを中心に前後上下左右の360度全方位を一度に撮影できる全天球型の360度カメラで、一般のユーザーにも扱いやすいのが特徴。
超高解像度の360度撮影が話題になった前作の「QooCam 8K」の後継機に当たる本機の大きな特徴は次の通りです。
- 絞り値F1.6の明るいレンズを採用
- 1/1.55インチの大型センサーを採用
- 最大5.7K@30fps/4K@60fps撮影、なめらかで細部までくっきりした撮影
- 4つの全指向性マイクで臨場感のあるサウンドを収音
- IP68防水防塵
- 性能の割に価格がお手頃
QooCam 3の基本情報
レンズ | F1.6 |
センサー | 1/1.55 インチ |
解像度(静止画) | 62MP(11136×5568) |
解像度(動画) | 5.7K@30fps 4K@60/30fps |
ストレージ | microSDカード(最大256GB) |
無線 | Wi-Fi:802.11a/b/g/n/ac(2.4 GHz/5 GHz) |
バッテリー | 1,600mAh |
マイク | 4基 |
端子類 | USB Type-C |
本体サイズ | 71.5mm x 82.7mm x 26.6 mm 201g |
防水防塵規格 | IP68 |
QooCam 3の外観デザイン
パッケージ内容
- QooCam 3 カメラ本体
- バッテリー x2
- USB-C to USB-Aケーブル
- レンズガード x2
- レンズクロス
- レンズキャップ x2
- マニュアル
- QooCam Selfie Stick(自撮り棒)
- ステッカー
今回メーカー様より送っていただいたのは、QooCam 3と自撮り棒。
内容物からして、恐らくプレミアムセットだと思われますが、梱包品の詳しい内容はKandao公式サイトよりご確認ください。
QooCam 3のデザイン
では早速、QooCam 3のカメラデザインを見ていきます。
前作のQooCam 8KやInsta360 ONE Xシリーズのような細長いボディではなく、GoPro Maxのようなアクションカメラに近い正方形状のボディ。
大部分は頑丈なプラスチック素材、前面背面を挟むバンパー部分はゴム素材で構成されていて、非常に堅固なつくりをしています。
実際手に持ってみると結構ずっしりと重量を感じます。
似た形状のGoPro Maxよりも一回り程大きく、感覚的には正方形型のコンデジを持っている感じでしょうか。
アクションカメラと呼ぶには少し大きいボディですが、堅牢性や質感はとても高く、ヘビーデューティな環境でも安心して使えそうな印象です。
グリップ感もいい感じ。
QooCam 3の最大の特徴ともいえるのが、このレンズシステム。
「絞り値 F1.6の明るいレンズに、1/1.55インチ大型センサーの組み合わせ」が前後方向に2つ構成されており、前方180度と後方180度の撮影を同時に行います。
このレンズシステムのおかげで、QooCam 3は他社の高級360度カメラにも引けを取らないほど高画質な撮影ができるとのこと。
前面の左上にはLEDランプがあり、撮影状態が分かるようになっています。
正面のレンズ下には、ボディ半分ほどのサイズの1.9インチタッチディスプレイ。
カメラの天面には、電源ボタンと撮影ボタン。
起動中、電源ボタンは写真モードと動画モードの切り換えにも使います。
側面側のバッテリーカバーを外すと、バッテリー(1,600mAh)、microSDカード(最大256GB)そしてUSB-Cポートにアクセスできます。
QooCam 3はIP68防水規格に準拠しており、バッテリーカバーは水が浸入しないような構造になっています。
底面には1/4インチのネジ穴があり、自撮り棒や三脚に取り付けて撮影することができます。
全天球型の360度カメラは、自撮り棒の先にカメラを取り付けて撮影することで、前後2つの映像の合成部分(スティッチライン)を目立ちにくくさせたり、映り込んだ自撮り棒を編集で消すことができます。
またボディの前後左右4方向には全指向性マイクがあり、360度周囲の音をしっかり拾うことができます。
QooCam 3で録画した音声は、それぞれ4チャンネル別々に保存されるので、必要なチャンネルだけを使用したり調整したりすることも可能になっています。
360度カメラは2つの大きな魚眼レンズがボディから飛び出しているので傷つくのが心配。
QooCam 3では最初からレンズカバーが2つ付属しているので移動中はしっかり保護することができます。
QooCam Selfie Stick
QooCam 3のような全天球型の360度カメラは、自撮り棒の使い方が大きなポイント。
映り込んだ自撮り棒を編集で消すことができるので、まるでドローンで撮影されたような撮影をしたり、振り回して撮影することで360度カメラならではの面白いトリックショットを撮影することができます。
QooCam 3 プレミアムセットに付属する自撮り棒も一緒に送っていただいたので紹介します。
といっても、非常にシンプルな自撮り棒。
扱いは簡単で、特にひねったりロック機構があるものではなく、そのままひっぱるだけで無段階に長さ調整が可能。
折りたたむと約29cm伸ばすと最大120cmまで、好きな長さで使うことができます。
手を持つ部分はゴムのようなラバー加工がされていて、しっかりグリップができます。
先端にはカメラを取り付けるための1/4インチネジのオス、底面には三脚を取り付けたり延長することができる1/4インチネジのメス。
底面のネジ穴には、付属のストラップを固定することで落下防止用としても使えます。
実際に取り付けてみるとこんな感じです。
棒の伸縮も非常にスムーズで、最大長にしてもガタツクことはなく、しっかり安定してホールドすることができます。
QooCam 3のレビュー
手軽に360度撮影が楽しめる
QooCam 3を使ってみて最初に感じたのは、操作が簡単でシンプルに使いやすいこと。
ボディはアクションカメラのような形状でとっつきやすく、初めての人でも扱いやすいのもポイント。
画面はそこまで大きくはないですが、QooCam 3のような横長ディスプレイは扱いやすく、細長い360度カメラと比べて操作やプレビューがしやすいと感じます。
基本的にはオートモード(露出調整+ISO感度)で動画や写真の360度撮影ができますが、マニュアルでシャッター速度を設定することも可能。
撮影モードについても複数用意されているので、カジュアルな撮影目的だけでなく、後々こだわった編集に使える撮影にも対応しています。
タイムラプス | 1~60秒間隔で写真を撮影する |
動画 | 360度の動画撮影 |
写真 | 360度の写真撮影 |
DNG8 | 同じシーンで8枚のDNGパノラマ写真を連続撮影 |
インターバル撮影 | 11K画質のパノラマ写真を連続撮影 |
AEB撮影 | 同じシーンで露出を変えた複数のパノラマ写真を連続撮影 |
片眼の広角撮影ができるシングルレンズモードやHDR撮影などはなく、他社360度カメラと比べて撮影機能こそは少なめ。
ですが実際に使う機能は限られているので、無駄に多機能で高価な360度カメラは一般ユーザーにとって過剰だったりします。
シンプルに360度撮影したいのであればQooCam 3の撮影モードでちょうど良く、必要十分な機能が揃っている印象です。
明るいレンズと大型センサーで360度撮影ができる
久々に360度カメラを使いましたが、普通のカメラでは撮影できない面白い撮影表現ができるので、撮っていてとても楽しい。
QooCam 3は静止画で62MP、動画では最大5.7Kの高画素撮影で細部まで細かく写すことができます。
まずは、自撮り棒に取り付けたQooCam 3を自分の正面に置いて普通に撮影。
撮影した写真は、QooCamのスマホアプリもしくはPCソフトに取り込むことで、360度ぐるぐる回しながら好きな角度を見ることができます。
360度の1回の撮影だけで、後から様々なアングルの画角を切り抜くことができます。
全方向を写しているわけなので、普通なら写せないカメラマン側の様子や表情も撮影できます。
アプリで映像を読み込むと、スティッチ(前後の映像の合成ライン)部分にある自撮り棒は自動的に除去されており、若干の不自然間はありますがつなぎ目もいい感じに補正。
色々検証してみたところ、50cm以下の被写体だとスティッチラインが歪みやすい感じでしたが、個人的には許容範囲。
360度カメラで是非撮影したいのが長い自撮り棒に取り付けて上空から撮影するドローンショット。
QooCam 3には6軸のジャイロスコープが内蔵されており、スマホアプリやPCソフトで読み込んだ際にかなり強力に手振れを補正してくれます。
実際に歩いたり走ったりしながらの撮影も試してみましたが、スマホ撮影とは比べ物にならないくらいスムーズな撮影ができます。
360度カメラは向きを気にしなくていいので、自撮り棒に取り付けたカメラを地面に這わせて撮影することで地面スレスレのローアングルも簡単に撮影できます。
ペットや子供の撮影で表情をしっかり撮りたいときや迫力のある映像を撮りたいときなんかにいいです。
撮影できるフレームレートは5.7K@30fpsもしくは4K@60/30fpsで、選べるフォーマットは少なめですが、必要十分です。
また、QooCam 3は明るいレンズと大きいセンサーのおかげで夜景もきれいに撮影できます。
さすがに1インチの大型センサーを持つ360度カメラには劣ってはしまいますが、一般ユーザー向けのカメラの中ではかなり暗所に強いと言えます。
QooCam 3 | QooCam 8K | Insta360 X3 | Insta360 1-inch | |
---|---|---|---|---|
センサーサイズ | 1/1.55インチ | 1/1.7インチ | 1/2インチ | 1インチ |
絞り値 | F1.6 | F2.0 | F1.9 | F2.2 |
光を取り込む量 | 100% | 61% | 52% | 103% |
実際に撮影した映像を見ても、小型アクションカメラとしては割とよく撮れていると感じます。
どうしてもザラザラしたノイズはありますが、町の明かりや雲の様子までしっかり確認できます。
今回は試しませんでしたが、RAW撮影ができるDNG8や露出を自動で切り換えて撮影できるAEB撮影、あとはタイムラプスやインターバル撮影なども使えます。
撮影の不満点もいくつかありますが、価格と撮影できる映像のクオリティを考えれば十分に満足できるカメラです。
4つの全方向性マイクで音声を録音できる
QooCam 3は360度周囲の音をしっかり録音できるように、ボディの前後左右にそれぞれ4つのマイクが内蔵されています。
普段の動画撮影に使っているスマホマイクと聞き比べてみたところ、話し声についてはしっかりと録音できている印象。
自撮り棒を伸ばしてカメラを離して撮影していても、それなりにクリアに録音されていました。
4つのマイクはそれぞれ別のチャンネルとして録音されており、編集ソフトを使えば、例えばマイク1と2だけのレベルを上げて、3と4はオフにしてノイズを調整するということもできるそうです。
ただし、外部マイクなどのアクセサリを使った録音には及ばないといった感じで、今のところBluetoothマイクで録音する機能などはなさそうです。
アクションカメラにはあまりマイクに力を入れていない機種もある中、QooCam 3は内蔵マイクにしてよくできており、普段使い程度ならば十分実用的なマイク性能だと感じました。
防水防塵でアクティブに使える360度カメラ
QooCam 3はパノラマアクションカメラだけあって、アウトドアを楽しむ人にはぜひ使ってもらいたい。
頑丈なボディにはIP68の防塵防水対応で、水場の撮影も心配いりません。
画角を気にする必要がない360度カメラなので、とりあえず撮影して後から見返すことで面白い瞬間が撮影できることがあるかもしれません。
アクションカメラなので必要以上に気を遣わなくてもいいのですが、ボディから飛び出ている魚眼レンズだけは傷がつかないよう注意した方が良さそうです。
スマホアプリで簡単にプレビュー・編集ができる
QooCam 3で撮影した写真や映像は、公式のスマホアプリやPCソフトでプレビュー・編集することができます。
QooCamアプリのDLはこちらから
スマホアプリ上でできることは、主にQooCam 3カメラのリモート操作と撮影した写真や映像のプレビューや編集。
一度ペアリングを行えば、あとはアプリからワンタップで接続できます。
リモート操作では、QooCam 3の撮影モードの切り換え/撮影設定/解像度の選択など、カメラ上にある機能ほぼすべてにアクセスすることができます。
自撮り棒で伸ばした時などカメラディスプレイを確認できないときでも簡単に操作ができるので便利。
アプリを通してプレビューすることで、360度ぐるぐる回したりプロジェクションの変更も行えるので、実際に撮影したい映像を確認しながら撮影することができます。
アルバムでは、QooCam 3カメラ内の素材をプレビュー編集することができます。
編集するためには一度スマホに素材をダウンロードする必要がありますが、一度保存したらカメラの接続を解除しても編集作業ができるようになります。
編集操作ではキーフレームやスマートトラッキングなど360度映像ならではの編集や単純なカット編集ができます。
ワタクシはいつも、スマホ用の無料動画編集アプリ「CapCut」を使ってVLOGを編集しています。
CapCut – 動画編集アプリ
Bytedance Pte. Ltd無料posted withアプリーチ
キーフレーム | 視点の変更 | |
スマートトラッキング | 対象を自動でフレーミング | 動画のみ |
プロジェクション | 「球体パノラマ」「惑星パノラマ」「円周パノラマ」から選べる ※PCソフトでは、更に「水晶体パノラマ」が選べる | |
スピード | 再生速度の変更 | 動画のみ |
アスペクト比 | 9:16/16:9/1:1/4:3/3:4から選択 | |
フィルター | フィルターの適応 | |
美顔 | 顔色を補正 | |
音楽 | 音楽の挿入 | 動画のみ |
トリミング | カット編集(動画の前端と後端のみ) | 動画のみ |
モーフィング | 自動で静止画からフレーミングした動画を作成 | 写真のみ |
カット編集についてはクリップの前後を切り取る程度しかできないので、1つの作品を作るには別の編集アプリに頼る必要があります。
編集ソフトとしては機能が少ないですが粗編集としては必要十分なので、スマホで簡単に編集してすぐにシェアしたいときにも便利に使えると感じました。
不満点もあるが今後のアップデートに期待
QooCam 3でいろいろ撮影している中で、いくつか不満点があったのも事実。
- 起動から撮影開始までが遅い(約10秒)
- シャッターボタンを押してから撮影開始までラグがある(約3秒)
- 電源オフからのクイック撮影機能がない
- スマホアプリの機能性がイマイチ
- 撮影したつもりが「ファイルが壊れている」で、開けないことがあった
- スマホとのペアリングがもたつくときがあった
ですが、大抵のことはソフト的な不満であり、今後のアップデートにより解消される可能性は高いです。
現にこのレビュー執筆中にも、いくつかのアップデート通知が届いており、細かいブラッシュアップは常に行われている印象です。
QooCam 3はハードウェア的な性能は既に高いと感じるので、あとはソフトウェア周りで改善されると十分に活躍してくれる360度カメラだと感じました。
まとめ:きれいな360度をシンプルに楽しめるお手頃なカメラ
以上、「【QooCam 3 レビュー】5.7K動画に明るいレンズと大型センサー。なのにお手頃な360度カメラ。」について書きました。
- 動画は最大5.7K@30fps/4K@60fps、静止画は62MPの高解像な撮影
- 360度カメラ最大級の明るいレンズとセンサーサイズ
- 操作性がシンプルで使いやすい
- IP68の防塵防滴対応
- スペックの割に手ごろな価格設定
- ボディの厚み、重量感
- 撮影モードや設定項目が少なめ
- ファームウェアやソフト面は今後のアップデートに期待
国内でいうと360度カメラはInsta360の知名度が高いですが、Kandao Technologyも負けず劣らずと非常に使いやすいカメラ。
主にプロ向けの機材を多く開発していることもあり、その技術力は折り紙付き。
QooCam 3は明るいレンズと大型センサーを採用していることで光学性能が高く、比較的手ごろな価格で入手できるのが魅力的な360度カメラです。
気になった人はぜひチェックしてみてください。