【ソニーEマウント】「フルサイズにAPSCレンズは使える」の本当と嘘
カメラ始めたての人にとって、レンズの種類はたくさんあってややこしいもの。
特にソニーの一眼カメラは、EマウントレンズでフルサイズとAPSCの両方が使えるわけですが、そもそもフルサイズ用レンズとAPSC用レンズで何が違うか、レンズの使いまわしって本当にできるのか、初心者には気になります。
この記事では、APSC用レンズやフルサイズ用レンズの違いを知らずに購入した私の失敗談を元に、それぞれのレンズの違いについてまとめました。
- APSC用レンズとフルサイズ用レンズの違い
- レンズのケラレ
- スーパー35mmモード(ソニー)
これから初めてソニーの一眼カメラを買おうと思っている方に、まずは知っておいて損はないレンズの話をします。
APSCレンズもフルサイズで使える「本当の話」
APSC用レンズでもフルサイズカメラで使うことはできる
結論から言えば、
同じマウントのレンズであれば、APSC用レンズをフルサイズカメラで使うことはできます。
まずマウントというのは、レンズとボディの結合形状みたいなもので、各カメラメーカーごとに異なっていたり、同メーカーでもカメラによって違います。
SONYでいうとEマウントは、α7系やα9系のフルサイズカメラとα6000系のAPSCカメラの両方に採用されているので、
- APSCレンズをフルサイズボディで使える
- フルサイズレンズをAPSCボディで使える
ということになります。
メーカー別レンズマウントまとめ
ここで、各カメラメーカーの主要レンズマウントの一覧をまとめます。
メーカー別主要レンズマウント一覧 | ||||
メーカー | センサーサイズ | |||
ラージ | フルサイズ | APSC | マイクロフォーサーズ | |
ソニー | – | Eマウント(ミラーレス) Aマウント(一眼レフ) |
Eマウント(ミラーレス) Aマウント(一眼レフ) |
– |
キヤノン | – | RFマウント(ミラーレス) EFマウント(一眼レフ) |
EF-Mマウント(ミラーレス) EF-Sマウント(一眼レフ) |
– |
ニコン | – | Zマウント(ミラーレス) Fマウント(一眼レフ) |
Zマウント(ミラーレス) Fマウント(一眼レフ) |
– |
フジフィルム | Gマウント(ミラーレス) | – | Xマウント(ミラーレス) | – |
ペンタックス | – | Kマウント(一眼レフ) | Kマウント(一眼レフ) | – |
オリンパス | – | – | – | M4/3システム(ミラーレス) |
パナソニック | – | Lマウント(ミラーレス) | – | M4/3システム(ミラーレス) |
シグマ | – | Lマウント(ミラーレス) | – | – |
ライカ | Sマウント(一眼レフ) | Lマウント(ミラーレス) | Lマウント(ミラーレス) | – |
キヤノンやニコンなど、昔から一眼レフカメラを作ってきたメーカーには、多くのマウントがあります。
マウントアダプタを使えば別マウントのレンズが使える
じゃあ、同じマウントに揃えれば違うメーカーのレンズを使えるのかといえば、その通りです。
「マウントアダプタ」というマウントを変換させるパーツを取り付けることで、違うメーカーのレンズを使うことができます。
例えば、ソニーのカメラにキャノンのレンズを使うことだってOK。
APSCレンズもフルサイズで使える「嘘の話」
では、ここからがうその話。
実は、同じマウントのレンズでも、APSC用とフルサイズ用それぞれのレンズがあります。
APSC用レンズとフルサイズ用レンズは別物
実はマウント以外にも、対応センサーサイズによってレンズは違うものになります。
例えば、SONY純正のこれら二つのレンズ。
型番が「SEL35F18」と「SEL35F18F」と非常に似ているわけですが、全くの別物です。
型番 | マウント | 対応センサー | レンズ |
---|---|---|---|
SEL35F18 | Eマウント | APSC | Eレンズ |
SEL35F18F | Eマウント | フルサイズ | FEレンズ |
このように、同じEマウントレンズであっても、EレンズはAPSC用、FEレンズはフルサイズ用と、それぞれ全く異なるレンズなんです。
そもそもレンズマウントというのは、結合部の形状であるので、同じソニーのEマウントである限り、
「FEレンズをAPSCカメラに、Eレンズをフルサイズカメラに取り付けられる」
という意味では正しいです。
ではなぜ、APSCレンズはフルサイズカメラで使えないのかというと、APSCレンズはAPSCのセンサーサイズに合わせたレンズ設計になっていることが理由になります。
APSCレンズがフルサイズカメラで使えない理由
結論を言えば、
APSCレンズはフルサイズで使えることは使えるが、撮影に制限がある。
APSCレンズは、約23.6mm×15.8mmというAPSCのセンサーサイズに光を届けるために設計されています。
そこで、このレンズを約36.0mm×24.0mmというより大きいフルサイズのセンサーで使おうとすれば、その一部にしか光が届かないことになります。
APSCレンズをフルサイズカメラで使うと、レンズによって届けられる光の範囲(イメージサークル)よりもセンサーサイズの方が大きくなります。
よって、センサーの外周部分には光が届かず、写真にはこのように黒く写る(ケラれる)ことになります。
スーパー35mmモードの弱点
そこでソニーのフルサイズカメラには、これを打開してくれる機能「スーパー35mmモード」という便利機能があります。
これは、ケラれていない写真の中心部のみを切り抜くことで、フルサイズカメラにAPSCレンズを装着しても、四隅がケラレることは無くなります。
これはこれで非常に便利な機能なのですが、ここでまた次の2つの問題が発生します。
画素数が減ってしまう
スーパー35mmモードを使えば、写真の四隅がケラレることなく撮影できますが、それと引き換えに「写真の画素数が減ってしまう問題」が発生します。
理由は簡単で、大きなフルサイズセンサー内に届いた中心部の範囲(即ち、APSCセンサーサイズの部分)を切り取って拡大していることで、あたかもケラレていないように見せているから。
そして出力される写真は、APSCのセンサーサイズ範囲のみの画素数になってしまいます。
- フルサイズ 24M相当 ⇒ APSC 10M相当
- フルサイズ 61M相当 ⇒ APSC 26M相当
つまり、240万画素のフルサイズカメラにAPSCレンズを取り付けて撮影したとき、写真は100万画素程度になるということ。
スマホの画面で見る限り、240万画素と100万画素の違いはそこまで気になりませんが、パソコンやテレビなどの大画面に出力したり、ポスター印刷などをするときに違いは出てきます。
画角が変わってしまう
もう一つの弱点は、スーパー35mmモードを使うと、画角が変わってしまいます。
センサーの中央部を切り抜いて拡大することになるので、拡大したような写真になります。
- フルサイズ 20mm ⇒ APSC 35mm
- フルサイズ 35mm ⇒ APSC 52.5mm
- フルサイズ 50mm ⇒ APSC 75mm
例えば、広角で広く撮影したいとき、20mmのAPSC用単焦点レンズをフルサイズカメラで使うと、焦点距離が35mm程度となり、かなりアップ気味の写真になってしまいます。
センサー別レンズまとめ
つまり、マウントだけでなくレンズの対応センサーについても留意しておく必要があるわけです。
ここで、各カメラメーカーのセンサー別レンズを整理します。
また、サードパーティー製のレンズには固有の表記があったりするので、レンズ購入時には対応センサーサイズをきちんと確認してね。
メーカー別主要レンズマウント一覧 | ||||
メーカー | センサーサイズ | |||
ラージ | フルサイズ | APSC | マイクロフォーサーズ | |
ソニー | – | FEレンズ(ミラーレス) Aレンズ(一眼レフ) |
Eレンズ(ミラーレス) Aレンズ(一眼レフ) |
– |
キヤノン | – | RFレンズ(ミラーレス) EFレンズ(一眼レフ) |
EF-Mレンズ(ミラーレス) EF-Sレンズ(一眼レフ) |
– |
ニコン | – | Zレンズ(ミラーレス) FXレンズ(一眼レフ) |
Zレンズ(ミラーレス) DXレンズ(一眼レフ) |
– |
フジフィルム | Gレンズ(ミラーレス) | – | Xレンズ(ミラーレス) | – |
ペンタックス | – | Kレンズ(一眼レフ) | Kレンズ(一眼レフ) | – |
オリンパス | – | – | – | M4/3システム(ミラーレス) |
パナソニック | – | Lレンズ(ミラーレス) | – | M4/3システム(ミラーレス) |
シグマ | – | Lレンズ(ミラーレス) | – | – |
ライカ | Sレンズ(一眼レフ) | Lレンズ(ミラーレス) | Lレンズ(ミラーレス) | – |
【私の失敗】APSCカメラでも最初からフルサイズ用レンズを買うべきか?
私は最初、「ソニーのカメラならAPSCレンズでもフルサイズで使えるから、後々ステップアップしても問題ないよ!」とカメラ店員さんの話を真に受け、a6300を購入し、次々と単焦点レンズを購入。
そして先日、フルサイズカメラのa7Cを購入してからようやくフルサイズレンズの違いに気づきました。
APSCレンズでも確かに使えないことはないのですが、あまり積極的に使いたいとは思えません。
じゃあ、これを避けるためにどうすればよかったのかというと、ひとつの選択肢として「最初からフルサイズ用レンズを買うこと」が考えられます。
APSCカメラに対して、それより大きなフルサイズレンズを使えばケラレなんて問題は全くないわけですし、それこそ後々のステップアップで威力を発揮することは間違いないでしょう。
しかし、最初にAPSCカメラを買う人って、「カメラを続けていくかわからないから、まずは比較的お手頃なAPSCシステムから初めて、ハマってきたらフルサイズも検討する」という考えが多いと思います。
そういう人にとって、最初から高価なフルサイズ用レンズを買うのには抵抗はあります。
もし当時の私が、「APSCレンズをフルサイズカメラで使うにはいくつか制限がある」という事実を知っていたとしても、「最初だし、まずは安めのAPSCレンズで試してみよう」という判断をするかもしれません。
もしそうだとしたら、まずはAPSCボディ+APSCレンズから初めて、後々フルサイズボディ+フルサイズレンズに移行することは、自然な流れなのかもしれないと感じました。
まとめと教訓
今回は、私がAPSCカメラからフルサイズに移行した際にレンズの互換性を考えてなかったという失敗談を通して、レンズの互換性についての話をしました。
ただ、今回の失敗(?)で得られた教訓として、次の2点。
- 早とちり&衝動買いでレンズを買うな。
- フルサイズ移行(もしくはマウントの変更)をするなら、できるだけ早い段階で。
特に、私のように「熱しやすく、冷めやすい」人は要注意です。