【GPD Win Max 2 レビュー】小さくてもパワフルなWindowsを買ったファーストインプレッション
高い性能でありながらコンパクトサイズでいつでも持ち運べるノートPCって誰もが憧れるモノですが、その選択肢としては実際そんなに多くはありません。
今回は仕事用兼プライベート用のノートPCを物色していたわけですが、性能かサイズ(あとは価格)、どれかを妥協する必要がどうしてもあって悩んでいたところ、完全にノーマークだったGPD Win Max 2の存在を知りました。
実は初代のGPD Win(Maxではない方)は以前購入したことがあり、「手に収まるサイズのWindowsマシン」として気に入っておりましたが、キーボードが打ちにくいことや性能不足もあってあまり実用的ではなく、結局手放してしまいました。
ですが、このGPD Win Max 2については、
- お弁当箱袋にも入るコンパクトなフルWindowsOSマシン
- メインマシンでも十分通用する高性能なCPUを搭載(Ryzen 7 6800U)
- メモリは最大32GBが選べる
- サイズの割にキーボードが結構打ちやすいと評判
- フルサイズのSDカードスロットがある
- 4G LTEオプションだとテザリング不要で通信ができる
- トガった見た目ではないので、仕事用としても使いやすそう
ゲームは全く遊ばない上、用途といったらオフィス、プログラミング、軽い写真・動画編集程度のワタクシにとっては、価格のことも考えるとGPD Win Max 2を選ぶメリットは正直あまり多くない。
ですが、いちPC好きとしてはこのサイズとこの性能のガジェットにロマンを感じざるを得ません!
LenovoやHPなどの定番メーカーに3か月ほど悩みましたが、GPD Win Max 2を知ってから3日目にはポチってしまうほどにすっかりGPD Win Max 2に魅了されてしまいました。
決して万人受けするものではないですが、使い方や目的によってはかなりハマるGPD Win Max 2。ようやく手元に届いたので早速ファーストインプレッションをお伝えします。気になる人はぜひチェックしてみてください。
- ノートPCとしては小さく、UMPCとしては大きい絶妙なサイズ感
- 解像度2560×1600のきれいなディスプレイは情報量も十分
- ノートPCとしてはかなり充実したインターフェースと拡張性
- 質感の高いキーボードはタッチタイピングもOK
- ゲームパッドが標準搭載!隠せるギミックもイカしてる
- メインPCとしても十分通用するスペックの高さ
- 随所に高性能なパーツが使われている
- 底面の素材がプラスチックなのが少し安っぽく感じる
- カバーを片手で開けない
- WEBカメラとスピーカー性能はいまいち
- ゲームをしないユーザーにとって、ゲームパッドは不要
- 「いたわり充電」ソフトがないので、バッテリー劣化が心配
GPD Win Max 2の特徴
小型ハイエンドノートPCとしての選択肢:GPD Win Max 2
GPDは古くからUMPC(Ultra Mobile PC)を手掛けてきた中国のPCメーカー。これまでに手のひらサイズのWindowsや小型のゲーミングUMPC、産業用Windowsなど多くのマシンの実績があります。
中でもWin Maxシリーズはゲーム用とオフィス用の一体型PCというコンセプトで、いつでも持ち運べるコンパクトなボディでありながら、高い性能、豊富なインターフェース、優秀な放熱性能を兼ね備えたUMPCです。
Win Maxシリーズの二世代目として2022年に発売開始されたGPD Win Max 2には次のような特徴があります。
- Ryzen 7 6800U、Radeon 680M、DDR5-6400 16GB/32GBメモリ
- 1TB/2TB M.2 SSD
- Windows 11 Home
- 10.1インチスクリーン
- デュアルファン:高速熱放散、冷却パイプ
- USB4:ゲーミング用外付けグラフィックスカード
- ホールジョイスティック:ドリフトしにくい設計
- 4G LTEモジュール
- SD、microSDスロット
- デュアルM.2スロット:M.2 2280/2230
- 67Wh大容量バッテリー:100W PD充電対応
- Wi-Fi6:転送速度 2402Mbps
- Bluetooth 5.2
- QWERTYキーボード:バックライト対応(2段階)
GPD Win Max 2の主なスペック
CPU | AMD Ryzen 7 6800U |
RAM | DDR5-6400 16GB/32GB |
ストレージ | M.2 PCIe 3.0 2280 SSD 1TB/2TB |
ディスプレイ | 10.1インチ IPS液晶 最大2560×1600、400nits タッチパネル対応(4096段階のペン感圧対応) |
カメラ | 200万画素 |
スピーカー | 4個 |
マイク | 内蔵マイク |
通信 | WiFi 6 Bluetooth 5.2 4G LTE(オプション) |
生体認証 | 指紋認証(電源ボタン) |
インターフェース | USB-C(USB 4.0)x1 USB-C(USB 3.2 Gen1) x1 USB-A(USB 3.2 Gen1) x3 HDMI 2.1 x1 SDカードスロット(UHS-II対応) x1 microSDカードスロット x1 3.5mmイヤホンジャック x1 BIOSリセットボタン x1 |
バッテリー | 67Wh |
本体サイズ | 227x160x23mm 約1005g |
OS | Windows 11 Home |
GPD Win Max 2の外観デザイン
実際に届いたGPD Win Max 2のパッケージは大きく、しっかりと梱包されていました。購入モデルやロット、販売店によって同梱物が異なってきますが、今回は株式会社天空からの購入なので特典のケースも付属。
見た目の高級感やビルドクオリティは意外と高い!
パッケージから開封して実際にGPD Win Max 2を手にしてみると、そのビルドクオリティの高さに驚きました。これなら普通にお仕事用のノートPCとしても十分に通用する質感です。
天板はアルミニウムの削り出し加工で作られており、ひんやりと冷たく無機質な高級感を感じられます。ガンメタリックのような落ち着いた色合いや中心のGPDロゴもあまり主張しすぎない感じで悪くないです。
一方で底面にはプラスチックが使われており、手に持ってみると少し安っぽさを感じてしまいます。重量との兼ね合いで仕方ないかもしれませんが、MacBookのような高級感を期待して購入すると少しがっかりするかもしれません。
GPD Win Max 2を横からみてざっくり三層に分けると、天面とキーボードフレームは金属製、底面はプラスチック製になっており、持ってみても重心が上の方にあるせいかちょっと違和感がありました。
それのせいか、GPD Win Max 2をテーブルに置いた状態だと片手で画面を開くことはできません。必ず片手でキーボード面を押さえながら開く必要があります。おまけに指をかける部分も浅いので、スムーズに開閉するには慣れが必要かもしれません。
のちに触れますが、GPD Win Max 2にはゲームパッド機能と豊富な拡張インターフェースがあるため、そこら中にボタンやスロットがあります。だからが故にGPD Win Max 2を横から見ると、それなりに厚みがあります。
外から見るとそんな感じですが、画面を開いたときのキーボード面はなかなか質感が高いです!フレームも金属製でしっかりとタイピングを受け止めてくれる堅牢性を感じられます。
ボディ全体がアルミ削り出しの高級ノートパソコンには及びませんが、GPD Win Max 2にも主要な部分はしっかり金属素材が使われていて、質感やビルドクオリティは全体的に高いと言えます。
PD100W対応USB充電器とUSB-Cケーブルはしっかりしたものが付属しています。PD100W対応としてはそこそこの大きさなので、持ち運びを気にする人はサードパーティー製のコンパクトな充電器を使うこともできます。
GPD Win Max 2のファーストインプレッション
ノートPCとしては小さく、UMPCとしては大きい絶妙なサイズ感
GPD Win Max 2は10.1インチというサイズ感が良く悪くも絶妙です。標準的な13インチノートPCよりは小さく、7インチクラスのUMPCよりは大きい。この中途半端なサイズ感こそが、
コンパクトな携帯性と実用的な画面・キーボードを両立できるぎりぎりのバランス
ともいえるでしょう。
GPD Win Max 2をGalaxy Z Fold 4とAmazon FireTV Stickのリモコンと比べると、縦の長さがどれも大体同じということから、どれだけコンパクトなサイズ感が伝わると思います。
重さはというと、このサイズにしてはかなりズッシリな約1.03kg。最近は13インチサイズでも800g以下のノートPCもあるくらいなので、GPD Win Max 2はかなり重く感じるかもしれません。
この重さをさらに感じさせてしまっているのが、23mmという厚み。数字でみると大したことないように思えますが、このサイズクラスだとかなり分厚く感じます。11インチでほぼ同じサイズのiPad Proの厚みは5.9mmなので、GPD Win Max 2はiPadの約4枚分弱の厚さがあります。
このサイズのノートPCとしてはあり得ないくらい豊富なインターフェースがあるので、致し方ないのでしょう。
重くて分厚いといっても、そこは10.1インチのUMPC。片手でも十分に持てるので、毎日持ち運ぶ使い方でも問題はなさそうです。例えばお弁当箱用のポーチにすっぽり入るサイズといえば、イメージしやすいでしょうか。
もっと薄くてもっと軽いノートPCは他にいくらでもありますが、10.1インチサイズという小さいフットプリントは貴重であって、「小さなバッグにも入る」「狭いテーブルでも使いやすい」という利点があります。
なのでまずは実用的な小さいサイズ感というのが、GPD Win Max 2の大きな特徴です。
解像度2560×1600のきれいなディスプレイは情報量も十分
GPD Win Max 2は10.1インチのコンパクトなディスプレイでありながら、2k(2560×1600)の高解像度ディスプレイを採用しています。有機ELパネルほどではありませんが、発色もよいIPSディスプレイでゲームや動画視聴にも全く不満はありません。
ただし光沢液晶のため、画面の反射はちょっときつめ。仕事用で長時間使うには目が疲れそうなので、アンチグレアフィルムを貼るなどの対策が必要そうです。
GPD Win Max 2のディスプレイのアスペクト比は流行りの16:10。フルHDの16:9(1920×1080)と比べても縦に長く、縦長のWebページや画面分割しても情報量が多く表示されるので、ビジネスユースとしてはうれしい限り。
また狭額縁ベゼルで画面占有率も高いことから、かなり洗練されたディスプレイという印象を受けます。
さらに、タッチパネル対応のディスプレイは4096段階のペン入力にも対応しています。残念なことにディスプレイを完全にフラットにはできないため、手書き入力にはあまり向いていないですが、ちょっとした書類のサインなんかには使えそうです。
ノートPCとしてはかなり充実したインターフェースと拡張性
スペック表を見ても分かるとおり、GPD Win max 2 はインターフェースがかなり充実しています。
特に注目したい点は、
- USB-C(USB 4.0):転送速度40Gbps、eGPUに対応
- HDMI 2.1:4K60Pの出力が可能、フルサイズコネクタで取り扱いやすい
- SDカードスロット:300MB/sの高速転送、UHS-II・V90に対応
- M.2 SSDスロット(2230タイプ):底面のネジを1本外すだけで簡単に増設可能
- SIMスロット(4G LTE):オプションで後から自分で付けられるモジュール
見ての通り、外部ディスプレイやSDカードを多用するクリエイター志向のユーザーを意識した設計になっていて、ハマる人にはハマる仕様になっています。
USB 4.0ポートを使うことで、ケーブル1本で映像出力/データ転送/充電ができることはもちろん、GPD Win Max 2は外付けグラフィックカード eGPUにも対応しています。グラフィック性能を必要とする作業でも、eGPUを介すことでデスクトップPC並の操作ができます。
またMacBookをはじめ、USB-Cに淘汰されつつあるHDMIもしっかりフルサイズコネクタを採用しており、外部ディスプレイへの接続も簡単にできます。
何度見ても変態仕様だと感じるのは、SDカードスロットとMicroSDカードスロットのデュアルスロット。おまけでついているようなものではなく、SDカードスロットについては最大312MB/sの高速転送に対応したUHS-II仕様。
スロット自体もSDカードが半分飛び出るものではなく、完全に本体に押し込めるタイプなので、挿しっぱなし状態で持ち運んでもひっかかりにくい設計です。
また底面の右側にはM.2 SSDを増設できるスロットと、左側には4G LTEのSIMカードスロットまであります。最初は必要なくても、後々自分で簡単に増設できるので、長く使っていく上で将来性も高いです。
質感の高いキーボードはタッチタイピングもOK
小型のUMPCやゲーム特化のPCだとキーボードは正直おまけ程度のクオリティも多いですが、オフィスユーザーもターゲットにしているGPD Win Max 2のキーボードはとても完成度が高いです。
GPD Win Max 2は普通のノートPCとは違い、トラックパッドがキーボードの上にあります。一見ものすごく特殊なキーボードのように思えますが、無理な配列もなくキーピッチも十分なので、これならタッチタイピングも十分に可能です。
トラックパッド自体はそこまで大きくありませんが、トラックパッド下部の右左には押し込み式のクリックができ、慣れてしまえば問題なく使えそうです。
トラックパッド右側のエリアに指を当てて支点とすることで、安定したマウス操作ができます。
また個人的には全く重要視していませんが、ヒンジ部分には一応WEBカメラがついています。
ゲームパッドが標準搭載!隠せるギミックもイカしてる
GPDのWin Maxシリーズは、「ゲーム用とオフィス用の一体型PC」をコンセプトにしていることもあり、GPD Win Max 2はゲームプレイに便利な機能がかなり充実しています。
まずキーボード上部にマグネットで固定されているカバーを外すことで、中から本格的なゲームパッドが現れます。
このゲームパッド自体も性能の高いパーツが使われているらしく、入力していなくても反応してしまうドリフト現象がほぼ起こらないとのことです。
じゃあゲーム中はこの外したカバーはどうするのかというと、本体背面にあるスロットにぴったり格納することができます。こうすることで、GPD Win Max 2をいつでもオフィス用とゲーム用に切り替えて使うことができます。
そのほかにも、本体の至る部分にゲーム用トリガーやボタンも多数設置されており、ノートPCにゲームコントローラーが融合した姿こそが、GPD Win Max 2。
「18時まではオフィスワーク。仕事が終わったらゲームを楽しむ!」という夢の使い方も、まさにこのGPD Win Max 2があれば、実現できそうです。
ただしスピーカー性能については、いまひとつな感じなので、有線接続かBluetooth接続のイヤホンを使うことをおすすめします。
また左のジョイスティックはマウスモードにすることでマウス操作としても使うことができます。
ゲームパッドはもしゲームとして使うつもりがなくても、プリインストールされている「WinControls」アプリを使うことで任意のキーを割り振ることができます。
フルサイズキーボードと比べて足りないキーを割り当てる使い方なんかもいいかもしれません。
ただやはり、サイズ感とスペック目的でGPD Win Max 2を購入したOffce用途兼写真・動画編集メインの非ゲーマーにとっては、このゲームパッドはなくても全く困らないものだったりします。
いっそのこと無くして、筐体を薄くしてくれた方が嬉しいというのが本音だったりします。
GPD Win Max 2の性能をチェック
GPD Win Max 2はOffce用途や簡単な写真・動画編集するだけであれば性能を持て余すほどの高スペックマシン。せっかくなので、簡単にその性能をチェックしてみます。
いろいろ検証していく中で気づいたのですが、このGPD Win Max 2には随所に「おおっ!」と思わせてくれるような高性能パーツが使われており、非常に感心させられました!
- Ryzen 7 6800U
- DDR5-6400メモリ 32GB
- WD Black SN770 NVME M.2 2TB
- UHS-II対応 SDカードスロット
- 高い放熱構造とボディ
CPU、グラフィックス、メモリ
AMD Ryzen 7 6800Uは、8コア16スレッドのモバイル向けCPUとしてはかなり性能が高く、ソフトによってはAppleのM2チップをも上回るほどと言われています。しかもこのサイズのUMPCで、8コア16スレッドなのでもはやロマンの域です。
CPUの能力を計測するベンチマークソフト、Cinebench R23ではマルチスコア「10390」、シングルスコア「1497」と、ノートPCとしてはかなりの高スペックです。特にマルチスコア性能が高いことから、動画や写真編集などの作業に優れているCPUと言えます。
ワタクシが職場で使っているデスクトップ向けCPUのAMD Ryzen 7 5600Gとほぼ同じ性能が出ていることから、Ryzen 7 6800Uは少し昔のデスクトップPC並みかそれ以上の性能があります。
Ryzen 7 6800U (モバイル向け) | Ryzen 7 5600G (デスクトップ向け) |
---|---|
10390 pts | 11096 pts |
1497 pts | 1418 pts |
パソコンの性能を総合的に測定するベンチマークソフト Passmarkを計測してみたところ、CPUについては「21647」とかなり高いスコア。過去の経験から、個人的に最低限確保しておきたいスコア「10000」の2倍のパフォーマンスとのことなので、将来的にもかなり余裕をもって使うことができそうです。
より実用面での使い勝手を測るベンチマークソフト PCMark 10(Webブラウジング、ドキュメント・スプレッドシートの作成、写真・動画編集など実際よく使うアプリを想定したテスト)の値はどのスコアも7000以上であり、快適判定とされる4000スコアを大きく上回っていました。
このサイズの筐体でこれだけの性能を出してくれるのであればもう申し分ないわけですが、CPUの電力制限を調整することでさらに性能を押し上げることも可能。
ご親切に最初からプリインストールされているMotionAssistantアプリのTDPコントロールを使えば、Ryzen 7 6800Uの電力制限を簡単に調整することができます。
Ryzen 7 6800Uが優れているもうひとつのポイントは、内蔵されているGPUのRadeon 680MがCPU統合型のグラフィックスとしては非常に性能が高いこと。全くゲームをしないのでゲームベンチは割愛しますが、
”軽めのPCゲームなら余裕で遊べて、重めの3Dゲームであっても画質を調整することで難なく遊べる”
という評価のようです。
仮にゲームをしないユーザーであっても、GPUハードウェアを用いたデザインソフト、3Dモデリング、映像編集、機械学習などに利用するのであれば、かなり恩恵は受けられるでしょう。
GPU用のメモリはメインメモリと共用になるため、メモリ16GBモデルでハードな使い方だとメモリ不足になるかもしれません。ワタクシの購入した32GBモデルは、初期状態だと32GB中3GBがGPU用に割り振られていました。
GPU側に割り当てるメモリ量はBIOSなどから設定変更できるので、使用用途に応じて調整ができます。
メモリには一般的なDDR4よりも動作クロックや転送効率の高いDDR5メモリを使用。しかも、普及帯のDDR5-4800ではなく、GPD Win Max 2のメモリはDDR5-6400(PC5-51200)というかなりハイエンド仕様。
細かい部分ではありますが、パーツひとつひとつにこだわっている印象が伝わってきます!
もちろん、ゲーミングノートなどを探せばもっと性能の高いCPUやGPU搭載のパソコンもあります。
ですが、GPD Win Max 2はそれに近い性能を10.1インチのボディで安定させて動作できるというのだから、もはや素晴らしいの一言です。
発熱、ファンノイズ
これだけ高い性能のCPUを小さいボディで動かすとなると気になるのは発熱。Cinebench R23を10分間実行中の温度をHWinfoというソフトでログ測定しましたが、サーマルスロットリングも起きずにほぼ70度に抑えられていました。
この小さな筐体でこれだけの発熱に抑えられているというのは、放熱性能はかなり高いと思われます。
Cinebench R23を10分間実行時のキーボード上の温度をスマホ機能付きサーマルカメラで見てみると、キーボード上のトラックパッド周辺が最も発熱しており約44度と実際触ってみてもそこまでアチチではありませんでした。
実際に触れる時間が長いキーボード上はほぼ発熱しないので、長時間使ってもそこまで不快には感じない程度です。
Cinebench実行中は結構ファンが回転しますが、静まり返った部屋でない限り気になるほどではないです。ファンの回転数は、Fnキー+Shiftキーのショートカットで変更することもできます。
ストレージ、SDカードリーダー
次にGPD Win Max 2のストレージをチェック。購入したSSD 2TBモデルは、最初からドライブのパーティションがふたつに分かれていました。2TBの容量に対して実際使える容量は約1.8TB、うち300GBはCドライブ、残りの1.5TBはDドライブに割り当てられていました。
SSDをCrystal Disk Infoで確認すると、なんとWD Black SN770が搭載されていました。しかも、接続はPCIe Gen 3よりも高速なPCIe Gen 4になっています。
WD Black SN770はWestern Digitalのゲーマー向けのハイエンドSSDで、2TBだと単体でも2万円以上はする高級SSD。これだけでも、1TBではなく2TBモデルを選んでよかったです!
ちなみに1TBモデルだとBIWIN製のSSDで、接続はPCIe Gen 3だそうです。
Crystal Disk Markで速度を計ってみると、ランダムアクセスが低い感じですが、他のWD Black SN770ユーザーと同様な結果が出ていたのでこんなものでしょう。それでも十分高速です!
続いて、SDカードとMicroSDカードスロットの速度も測ってみます。手持ちのUHS-II対応SDカードと適当なMicroSDカードはそこまで高速ではないため、理論値よりもそこそこ低い結果がでていますが、実用上は問題ありません。
理論値(最大) | 実測値(連続) | |
---|---|---|
SDカードスロット | Read:312MB/s Write:312MB/s | Read:283.2MB/s Write:122.7MB/s |
MicroSDカードスロット | Read:160MB/s Write:120MB/s | Read:97.5MB/s Write:67.5MB/s |
ネットワーク
GPD Win Max 2にはIntel AX210のネットワークアダプタが搭載されています。通信としては、従来の無線2.4/5GHz帯に加えて新たに6GHz帯に対応したWIFI 6Eに対応しています。
- WIFI 6E
- Bluetooth 5.3
WIFI 6E対応機器がないので詳しい検証はできていませんが、しばらく使っている中で突然切断されたり速度がでなくなることもなく非常に安定しています。将来的にもしっかり使っていけると思います。
GPD Win Max 2はオプションとしてLTEモジュールによる4G LTE通信が可能。このモジュール自体は単体で購入することもできるので、将来的にGPD Win Max 2を屋外で活用したいという場合でも、ユーザー側で簡単に後付けできるのも大きなメリットです!
バッテリー
GPD Win Max 2には67Whのバッテリーが内蔵されています。一般のノートPCでいうところの、3セルか4セルあたりの標準的なものです。
バッテリーの持ち時間はパソコンの構成によって大きく変わってきますが、比較されやすいCore i7 1260Pと比べるとRyzeen 7 6800Uの方がバッテリー効率は良いようで、他の機種の比較レビューを見ても、Ryzen 7 6800Uの方が長持ちだといわれています。
細かいベンチマークは測定していませんが、WIFIに接続した状態でYouTubeを流し続けてみたところ、7時間25分の段階でバッテリー残量は24%になっていました。バッテリー100%の状態から動画再生だと、単純計算で9時間くらいは持ちそうです。
初期インストールソフト
GPD Win Max 2のプリインストールされているアプリには、「MotionAssistant」と「WinControls」のふたつがあります。
MotionAssistantでは、ゲームパッドの設定やTDP設定ができます。Google画像翻訳したものを載せておきますので、こだわった設定をしたい人は参考にしてみてください。
WinControlsでは、トラックパッド横のボタンと背面ボタンの設定ができます。任意のキーを割り当てたり、細かい設定もできるので、ゲーム以外でも使えそうです。
ひとつ気になる点としては、メーカー製PCでプリインストールされている「いたわり充電」系のアプリがないことです。
いたわり充電機能とは、バッテリー充電を100%満充電ではなく80%程度に抑えることでバッテリーの劣化を抑えてくれる機能。特に電源をつなぎっぱなしでデスクトップのように使うノートPCでは有効のようです。
この機能が具体的にどれだけ効果があるかは機種やバッテリーの品質にもよりますが、常にコンセント挿しっぱなしで使う場合はバッテリー劣化が気になるかもしれません。
10インチクラスのノートPCの比較
GPD Win Max 2と同じ10.1インチクラスのノートPCは選択肢はあまり多くありませんが、現在購入できるもので近しい性能のものをいくつかピックアップして比較します。構成が選べるものについては最上位構成で比較しています。
GPD Win Max 2 | OneMix4S | GPD Pocket 3 | Surface Go 3 | VAIO SX12 | |
---|---|---|---|---|---|
CPU (スコア目安) | (20665) | Ryzen 7 6800UCore i7-1250U (13446) | Core i7-1195G7 (11049) | Core i3-10100Y (2950) | (20474) | Core i7-1280P
メモリ | 最大32GB | 最大16GB | 最大16GB | 最大8GB | 最大32GB |
ストレージ | 空きスロットx1 | 最大2TB最大2TB | 最大1TB | 最大256GB | 最大2TB |
ディスプレイ | タッチ対応 | 10.1インチ/2560×1600タッチ対応 | 10.1インチ/2560×16008インチ/1920×1200 タッチ対応 | 10.1インチ/1920×1280 タッチ対応 | 12.5/1920×1080 タッチ非対応 |
カードスロット | MicroSD x1 | SDカード x1MicroSD x1 | なし | MicroSD x1 | なし |
インターフェース | USB-A x3 HDMI x1 ヘッドホン端子 x1 | USB-C x2USB-C x3 ヘッドホン端子 x1 | USB-C x1 USB-A x2 HDMI x1 ヘッドホン端子 x1 ※別途交換式コネクタあり | USC-C x1 ヘッドホン端子 x1 | USB-C x2 USB-A x2 HDMI x1 LAN x1 ヘッドホン端子 x1 |
SIMスロット | 4G LTE | なし | なし | 4G LTE | 5G |
バッテリー | 67Wh | 10,000mah (約37Wh) | 38.5Wh | 28Wh | ? |
本体サイズ | 227x160x23mm 約1005g | 約769g | 227×157.3x17mm約725g | 198x137x20mm約544g | 245x175x8.3mm287.8x205x17.9mm 約950g |
本体形状 | ゲームパッド内臓 | コンバーチブルPC | コンバーチブルPC | セパレート2-in-1 PC | クラムシェルPC |
Amazonで探す | Amazonで探す | Amazonで探す | Amazonで探す | 公式サイト |
どれも特徴があって、何を重視するかによって最適な選択肢が変わってきます。個人的な感想としては、
- 性能:VAIO SX12>GPD Win Max 2>OneMix4S>GPD Pocket3>Surface Go 3
- 拡張性:GPD Win Max 2>VAIO SX12>GPD Pocket 3>OneMix4S>Surface Go 3
- コンパクトさ:GPD Pocket 3>OneMix4S>GPD Win Max 2>Surface Go 3>VAIO SX12
- 軽量さ:Surface Go 3>GPD Pocket 3>OneMix4S>VAIO SX12>GPD Win Max 2
- 価格:GPD Pocket 3 >Surface Go 3>> GPD Win Max 2 =OneMix4S>>VAIO SX12
といった感じでしょうか。
ただ、10インチクラスのノートPCの選択肢自体がそこまで多くはないので、自分の用途に合わせて選ぶ感じでいいでしょう。
- PCゲームがしたい ⇒ GPD Win Max 2の一択
- ビジネス用途で安心して使える高性能機種 ⇒ VAIO SX12
- タブレットとしても使えるWindowsマシン ⇒ OneMix4S、GPD Pocket 3、Surface Go 3
まとめ:GPD Win Max 2のファーストインプレッション
この記事では、「【GPD Win Max 2 レビュー】小さくてもパワフルなWindowsを買ったファーストインプレッション」について書きました。
Office用途および軽い写真・動画編集目的のワタクシにとっては、必要十分以上のスペックを毎日持ち運べるマシンとして、GPD Win Max 2はメインPCとしても十分に活躍できる「余裕」を感じさせてくれます。
もしかすると今後のPCライフはこの1台でこと足りるんじゃないかとすら思えています。
GPD Win Max 2を母艦マシンとして、自宅ではドッキングステーションにつないでデスクトップ環境、外に持ち出したいときはボディバッグに入れてどこでも同じ環境で作業ができる。
と、かなり満足度の高い1台です。
- ノートPCとしては小さく、UMPCとしては大きい絶妙なサイズ感
- 解像度2560×1600のきれいなディスプレイは情報量も十分
- ノートPCとしてはかなり充実したインターフェースと拡張性
- 質感の高いキーボードはタッチタイピングもOK
- ゲームパッドが標準搭載!隠せるギミックもイカしてる
- メインPCとしても十分通用するスペックの高さ
- 随所に高性能なパーツが使われている
- 底面の素材がプラスチックなのが少し安っぽく感じる
- カバーを片手で開けない
- WEBカメラとスピーカー性能はいまいち
- ゲームをしないユーザーにとって、ゲームパッドは不要
- 「いたわり充電」ソフトがないので、バッテリー劣化が心配